これはひどい

乗り物酔いが激しい。
昨日も乗り換え2回、1時間ちょいくらいの電車の旅だったんだけど・・・
家(スタート)私鉄→(乗車6分)→駅1→(乗車4分)→駅2→(乗車37分)→駅3



まず、駅1で次の切符を買おうとしたら、5000円札しかない。
小銭は10円だけ。
切符販売は1000円札しか入らない。
駅員なし。
両替機なし。
回りに開いてる店なし。
どうにもならないから切符買わずに乗車。



最後の乗車37分のところで吐き気が限界だったから17分乗って途中で降りた。
幸い終電の一本前だったので、終電に乗ればいいかなと思って、降りた駅で40分待ちぼうけ。
周りを見渡してみる。
ホームには片側8本ずつの電灯。
細くて古びたくらい階段。
線路は絶壁と駅にはさまれていて、ホームはその真ん中にある。
絶壁、線路、ホーム、線路、改札とゆう順に並んでおり、
ホームから改札までは天井を覆った歩道橋のようなもので行き来できる。
改札口にトイレはあるが、物置のような小さなぼろぼろの小屋だ。
ちょっと探検しようかと駅の外に出てみる。
駅前には道路があり、明りの灯ってない古びた家が道路を挟んで2,3軒。
右を見ると、曲がりくねった道が真っ暗な闇の中を山へと走っている。
左を見ると傾斜の激しい下り坂が同じく闇の中へと消えていく。
まるでホラー映画の1シーンのような静けさと情景。
さらに、とても濃い霧がその景色を見たものの恐怖をよりいっそう煽り立てる。



携帯の電池が切れてしまったので、10円で近くにあった公衆電話から電話をかけるが、すぐに切れてしまう。
「こんなとこに40分か・・・」
よく見ると改札口の近くの椅子に浮浪者らしき影がある。
熟睡しているのかピクリとも動かない。
11月も終わりに近づき、夜中は冷える。
ーーーこの冷える中よく眠れるものだ・・・。
周りに休めるような場所もないので、ホームに戻り階段に腰掛けた。
肩掛け鞄の中から、読みかけの小説を取り出し、続きを読むことに没頭し始める。
読んでいる間はこの駅にいることを忘れさせてくれるから・・・。



辺りは静まり返り、風が山の木を揺らす音だけが悲鳴のようにこだまする。
突然の大音量に私はハッと顔を上げる。
電車が通過する注意を促す電子音が鼓膜を叩いたからだ。
貨物列車のようで、先頭の車両だけにライトが点いており、後続の車両は真っ暗だ。
貨物列車はホームと改札の間の線路を夜の帳を突き破るように駆け抜けて行った。
意識せずにチラリと改札のほうを見る。
ーーーさっきとは何か違う・・・。
浮浪者がいないのだ。
トイレにでも行っているのだろうと思い、また本を読み始める。



また先ほどと同じ電子音が鳴り響く。
今度は寝台列車のようだ。
また何気なく改札のほうを見た。
先ほどの電車が通過してから10分以上経っていたが、浮浪者は戻っていなかった。
ーーー遅いな・・・。
ーーーん?あれはなんだ・・・?
階段の方からかすかな物音がする。
カツーン
カツーン
おそろしくゆっくり・・・階段を上る足音のように聞こえる。
カツーン
カツーン
一歩・・・また一歩。
カツーン
カツーン
静けさに染み込んで消えていってはまた鳴り出す。
カツーン
カツーン
私は手と背中に異常に汗をかいていることに気付く。
カツーン
カツーン
胸が張り裂けるほどに大きくなる鼓動。
カツーン
カツーン
一歩一歩ゆっくりではあるが、確実に音が大きくなってくる。
カツーン
カツーン
足音はそろそろ改札の方の階段を上りきったはずだ。
カツーン
カツーン
そのとき、また電子音が鳴り出した!
電子音によってかき消される足音!
後方から電車が来る!
半ば金縛りにあっていた体を無理矢理動かす。
ーーーたのむ、この駅に止まってくれ・・・。
恐怖心が大きすぎて振り返ることができない。
そのとき、足音が急に早くなった!
カツカツカツカツ
私は無我夢中で階段から離れ、先頭の車両の扉が止まるであろう場所まで走った。
キィー
急激な制動で線路と車輪が軋み、電車の速度をじょじょに遅める。
ーーー早く、早く止まってくれ。
足音はもう降りる階段まで迫っていた。
カツカツカツ
ーーー早く早く!
プシュー
扉が開き、電車に飛び乗る!
・・・・
耳をすませてももう足音は聞こえなくなっていた。
安心して力が抜けた私は先頭車両の真ん中あたりの席に座り、大きく息をつく。
恐怖心はまだ残っていたが、さきほどまでに比べれば、微々たるものだった。
辺りを見回すと、車両には2,3人の人が乗っていた。
その中に、改札の近くの椅子で寝ていた浮浪者らしき老人が・・・。
それを見た瞬間、体中の力が抜け、心の中でつぶやいた。
「あのじいさんの足音だったのか・・・。」



はじめは普通に書くつもりだったんだけど、書いてるうちにノッてきたんでホラー風味に。
実際に俺が体験した出来事です。
帰りは酔い止め飲んだよ(ノД`)シクシク